JR高田の馬場駅から徒歩1分の好立地にたたずむ「桜の芽クリニック」。
「女性の院長が患者一人一人と向き合い、きめ細かい対応をしてくれる」、「仕事をしながら通いやすい」、と評判のクリニックです。
今年開業4年目を迎える桜の芽クリニックの院長 田中 弥生先生に、クリニックや患者様への想いについてお話しをお伺いしました。
目次
「さくらの芽」に託された田中院長の想いとは?
「さくらの芽クリニック」という名前は春を感じる素敵なお名前ですが、何か由来はあるのでしょうか。
実は子供の名前から1字ずつとっているんです。
もともと「さくら」は日本人にとってゆかりのある木ですし、見ているだけで、皆が「春が来た」と明るい気持ちになるので、子供に名付けたかった文字なんです。
私自身も40代に入ってから子供を2人産んでいますので、そういう縁起の良い事をもたらしてくれるんじゃないかなと思い、「さくら」と「芽」を1文字ずつとりました。
田中先生が産婦人科医になろうと思ったきっかけは何かありますか?
姉が結婚前に子宮筋腫を患っており、医学生の時にその治療の様子を見ていて、産婦人科を志望しました。
その後、姉が出産した時に立ち会い、赤ちゃんを見て、本当に可愛いなと思い、お子さんを望んでいるご家庭のお手伝いをしたいと思って産婦人科医になりました。
大学病院ではどのような事をされていたのでしょうか。
当時15年くらい前ですが、日本にはまだあまり大学病院に生殖医療専門の研究グループがなかったんです。大学病院では必ず産科や婦人科を兼任しなければいけませんでした。そのため私も、生殖医療を学びながら産婦人科を兼務していました。
その後、開業されるまで杉山産婦人科にいらしたようですが、理由は何かありますか?
杉山産婦人科は、生殖医療だけでなく産科も併設していたので、生殖医療と産婦人科領域と両方の今まで学んだ知識を活かせると思いました。
やはり、産科のことを忘れてしまうと良い医療が提供できなくなるのではないか、と思っていたため、杉山産婦人科では不妊治療から出産まで見ることが出来てとても勉強になりました。
不妊治療で担当した患者さんが妊娠して出産の時まで寄り添えることができたこともあり、そういう意味では大変楽しく働くことができました。
院長が患者の全てを把握しているから、安心や信頼に繋がる
桜の芽クリニックは、朝は毎日8時からの診察、火曜日・木曜日は17時~19時まで診察となっていますが、お仕事をされている患者様が多いから、ということでしょうか。
はい。やはり患者様は仕事をされている方がほとんどです。皆さんのことを考えれば、365日営業できるのが理想的だと思いますが、少しでも働いている患者様が通院しやすいよう、早朝に診察をしたり、1日おきにご来院頂ければ問題のないような治療計画を立てるようにしています。
医師が複数いれば、毎日夜間を開けられる可能性はありますが、医師を増やすことで患者様からの情報の伝達で何かが抜け落ちる可能性もあります。
「この患者様には次はこういう診療をしたいな」と思っていても、次にご来院された時に違う医師が担当だった場合、そういった診療はできません。
また、医師間での考え方に違いがあると、患者さんが不信感を覚えることにも繋がります。
自分が診れる範囲で診察することで、ちょっとした小回りもききます。私が患者様の全てを把握して診療できる、ということは患者さんにとってもメリットがある、と思っています。
不妊治療は田中先生以外に、多くのスタッフの方が関わると思いますが、良いチーム連携のために何か心がけていることはありますか。
不妊治療は、医師、看護師、培養士、誰1人欠けても成り立ちません。
その上で、それぞれができる役割を進んでやるようにしよう、と常々伝えています。また、看護師や培養士の主任同士がリーダーシップをとれる体制を作っており、情報連携をしやすくしています。
自分自身にしか出来ないことをすることで、患者様のお役にも立てるのだと信じて意識を皆で高めています。
二人目不妊の方も治療がしやすいよう、託児ルームもあったようですが、今はどうされているのでしょうか。
開業当時に比べると2人目不妊の方も増えてきました。
ただ、今はコロナ禍においてお子さんが入れ替わる度に消毒をする必要があり、人員的に難しかったため、自院の託児ルームは閉じて、近くの託児所と提携して、1時間分の料金を負担するようにしました。
昨年からコロナウィルス感染症の影響で、各クリニックでも感染予防対策をとられているようですが、さくらの芽クリニックでも何か対策をされていらっしゃるのでしょうか。
コロナウイルス感染症の影響で、ご夫婦で一緒に来院することをお断りさせて頂くような状況もあります。その代わりにテレビ電話で旦那様に対してご説明するなどの対応はしています。
また、密を避けるため、院内の待合室の椅子をずらしてみたり、向きを変えたりなどの工夫をしています。診察室にもパーテーションを立てています。
30代の患者さんに、卵のせいで妊娠できないとは言えない
桜の芽クリニックの患者様は年齢的に何歳位の方が多いですか。
やはり30代の患者さんが多いですね。30代前半の患者さんも結構いらっしゃいます。
初めて不妊治療をされる、というクリニックとしてはあまり敷居が高くないと感じて頂けているのではないかなと思います。
若いからこそ、逆に妊娠しないのはおかしいわけです。結果がでない時に卵のせいで妊娠しないとは言えないので、プレッシャーはそれなりにあります。でも、その分医師としてやり甲斐もあります。
治療成績を拝見していると、30代の方と40代の方では採卵回数が全然違ってくるのだなと感じましたがいかがでしょうか。
良い受精卵ができれば、年齢が高くても移植する回数は変わりませんが、年齢が高くなると良い胚盤胞ができる確率が低くなるので、採卵の回数は圧倒的に増えますね。
治療を始める際に、治療の妊娠率というのはお話しされるのでしょうか。
そうですね。年齢にかかわらずお話しをするようにしています。
40代の方は、体外受精をしても、10~15%の妊娠率となるわけで、そこにお金を払って治療を受ける、ということに理解を得られるかということも考えますので、きちんと説明はしています。
個々の状況に合わせて、刺激方法もステップダウンも提案を
貴院の治療方針としては、個々の患者様に合わせて刺激方法や治療を提供されている印象ですが、患者様にステップダウンを提案されることはありますか。
こちらから提案することはあまりありませんが、ケースバイケースです。
例えば、卵管が詰まっているとか、精子に異常があるとか、AMHが極端に低いなどでない場合は、患者さんの希望に応じて一定期間ステップダウンを提案することもあります。
採卵について伺いたいのですが、採卵時に麻酔は使われますか?
はい。麻酔は、静脈麻酔を採用していて局所麻酔は行っていません。
あとは患者さんによっては座薬を使って行う時もあります。基本的には患者様の意向に沿う形で行っています。
さくらの芽クリニックでは排卵誘発を使った新鮮胚移植を積極的に行っているのですか?
AMHが0.5以上ある患者様には、最初から排卵誘発剤を使って治療を行うことを前提としています。
また、胚移植についても今までの診療で凍結胚では全く妊娠しなかったのに、新鮮胚で妊娠するというケースもあったので、初回は新鮮胚移植をしてみますか?ということは患者さんに伺っています。それでも実際には、全体の中で新鮮胚移植をする割合は3割弱です。
高齢の方は卵子の質の低下が心配になりますが、どのような刺激をされるのでしょうか。
やはり染色体の解析でも、40代になると正常な卵子が検査機関から戻ってくる確率は25%ないので、卵子の質というのは年齢とともに低下していると言えますね。
当院では、40代でもAMHが高い方は高刺激を行いますし、AMHが低い方は自然周期で行う、といった対応をしています。
男性の精液検査はクリニックで行っていらっしゃいますか。
いえ、現在院内では行っていません。
コロナウイルス感染症の影響で、去年から自宅で採取して2時間以内に持ってきて頂くようにしています。
通常の精液所見であれば2時間以内に持ってきて頂ければ特に問題はないのですが、精液所見が悪い方はご来院頂いた方が良いので、今後はコロナウイルス感染症の状況も見ながら、対応を考えていきたいと思います。
男性不妊が見つかった場合、治療は貴院で行うのでしょうか。
男性不妊専門の病院と連携して男性不妊の治療についてもご案内しています。
どんな状況でも諦めず続けることも大切だと患者様が教えてくれた
今まで、田中先生が医師として患者様を診てきた中で、最も印象深かった患者様とのエピソードなどがあれば教えていただけますでしょうか。
以前勤めていた杉山産婦人科の時からの患者様で、開業後も当院で継続して診ていた方がいました。
受精卵を3個集めるのに1年半程かかったため、年齢的に難しい状況だと少し感じていましたが、担当してから3年半くらいの45歳の時にようやく妊娠されました。その時はご本人も驚いていました。
その後、問題なく出産されて『元気にしています』とお手紙を頂きました。その時に、どんな状況の患者様であっても、諦めずに治療を続けることは本当に大事なんだなと痛感しました。
最後に田中先生から患者様へメッセージをお願いいたします。
妊活中にちょっとでも不安なことがあった時に、気軽に相談して頂けるクリニックでありたいなと思っています。
1人で悩みを抱え込まずに、医療の力も借りながら、一緒に妊活を進められたらと思っています。