欲しい子供の数で妊活開始年齢は変わってくるのを知っていますか?

みなさん、幼い頃の夢はなんでしたか?
保育園の先生、看護師さん、お花屋さん…様々な未来を思い描いたのではないでしょうか?
これらの夢は徐々に現実的なものに近づいては行きますが、高校、大学と20代までずっと将来を思い描いてきた人も多いと思います。

子供の頃は「キャリアプラン」という言葉は使わないものの、幼いころから将来の夢と言いながらどのような仕事について、どのように働きたいのか?いわゆるキャリプランを知らず知らずのうちに思い描き続けてきたのです。

しかし、10代、20代の間にライフプランをしっかりと思い描く人はあまりいません。
結婚、出産に関しては漠然と思い描いている人の方が多いのです。
「そのうち結婚して、子供は2人ぐらいいればいいかな?…」と具体性のない人がほとんどです。

少し具体的になっても、「共働きをするかどうか?」「どういう場所に住むか?」などが中心になり、何歳までに何人子供を持つかを具体的にイメージする人はまだまだ少ないのが現状です。

しかし、子供を自然に授かるのか、体外受精などの高度生殖医療で授かるのかでも妊活開始年齢が変わってきますし、望む子供の数が1人か、2人か、3人かでも妊活開始年齢が変わってきます。
実はライフプランを考える上で、子供をいつ、何人望むかを考えることは非常に重要なことになってきます。

漠然と「子供が2人か3人いればいいなぁ…」と将来を思い描くのではなく、「子供は2人と考えているから、〇〇歳には妊活をスタート…」という風に逆算してライフプランを立てていく必要があります。

1人目出産の年齢的リミットを考えている人は増えてきたが…

実は思っているほど高くない「自然に妊娠できる確率」の記事でも説明していますが、実は一般的に思われているほど「自然に妊娠できる確率」は高くありません。
1年で8割の人が妊娠するというのは、あくまでも20代での数値です。

30代前半であれば、1年で妊娠できる確率は6割程度であり、30代後半になると5割程度になります。

これらの確率は2人目妊活であろうが、3人目妊活であろうともさほどかわりません。

しかし、多くの人は一人目妊活ではこの年齢的リミットは意識するにも関わらず、2人目や3人目となると、「1人出産できたのだから…」という意識が働くのか、年齢的な事をついつい忘れがちです。

卵子の老化の問題はもちろんのこと、男性の精子の妊孕力も年齢とともに下がっていきます。男女共に妊娠しにくい条件が年齢とともに増えてくるのです。

だからこそ子供を2人、3人望む場合は、2人目や3人目を何歳で出産するのか?そこまで考えて本来はライフプランを考える必要があるのです。

何人子供を望むかで妊活スタート時期は変わってくる

日本での研究データではありませんが、ヨーロッパの生殖医療の専門雑誌で、欲しい子供の数と妊活スタート年齢を表したデータがあります。(Human Reprod, 30 (9), 2215-2224,2015)

子供1人の場合(自然妊娠の場合)

強く子供を望む場合(90%):32歳までに妊活をスタート
出来れば子供が欲しい(75%):37歳までに妊活をスタート
どちらでもいい(50%):41歳までに妊活をスタート

子供2人の場合(自然妊娠の場合)

強く子供を望む場合(90%):27歳までに妊活をスタート
出来れば子供が欲しい(75%):34歳までに妊活をスタート
どちらでもいい(50%):38歳までに妊活をスタート

子供3人の場合(自然妊娠の場合)

強く子供を望む場合(90%):23歳までに妊活をスタート
出来れば子供が欲しい(75%):31歳までに妊活をスタート
どちらでもいい(50%):35歳までに妊活をスタート

 

この年齢をみて、みなさんはどのように感じたでしょうか?
自分たちが思っている以上に早くから妊活をスタートしなければならない…という事に気が付いた人もいるかもしれません。

よく一般的に言われる「子供は2人欲しい」という場合は、2人を強く望むのであれば27歳までに妊活をスタートしておくことが必要になってきます。
27歳といえば、「そろそろを結婚を…」と考えている人が多いぐらいかもしれません。

ここで気を付けたいのは、最初は「子供はどちらでもいい」と思っていたはずが、妊娠を望むようになってから気づけば、「出来れば子供が欲しい」→「絶対に子供が欲しい」に気持ちが移り変わっていく可能性があるということです。

子供はどちらでもいいと思っていたから、40歳で妊活をスタートした。でも気づけば「どうしても子供が欲しくなっていた。」そういうことだって起こりえるのです。

だからこそ、ライフプランを考えるときは少し余裕をもって考えていくことも大切です。
そしてライフプランを考える上で「卵子凍結」という考えも一つの選択肢として持っておくといいのではないでしょうか?

自然妊娠か体外受精かでも、妊活スタート時期は変わる

こういう話をすると、「でも、体外受精であればもっと年齢が高くても妊娠出来るのでは?」と思われる人もいるでしょう。
先ほどのデータ(Human Reprod, 30 (9), 2215-2224,2015)には体外受精の場合の開始年齢の目安も記載されています。

子供1人の場合(自然妊娠→体外受精)

強く子供を望む場合(90%)32歳→35歳
出来れば子供が欲しい(75%)37歳→39歳
どちらでもいい(50%)41歳→42歳

子供2人の場合(自然妊娠→体外受精)

強く子供を望む場合(90%)27歳→31歳
出来れば子供が欲しい(75%)34歳→35歳
どちらでもいい(50%)38歳→39歳

子供3人の場合(自然妊娠→体外受精)

強く子供を望む場合(90%)23歳→28歳
出来れば子供が欲しい(75%)31歳→33歳
どちらでもいい(50%)35歳→36歳

この年齢を見ると、実は体外受精でもさほど先延ばしできないのがわかります。
一人でもいいから、強く妊娠・出産したいと思っているのであれば、データ上は36歳には体外受精を行っていなければならないのです。

これらの年齢からもわかるように体外受精は決して産み時を先送りできる魔法の技術ではありません。ただし、多数の良好胚(質の良い受精卵)が凍結できれば、それを利用して将来の妊娠の可能性は高くなるかもしれません。

医療の助けを借りるとしても、わが子を妊娠・出産したいという強い思いがあるのであれば、あまり悠長にかまえている時間はないのです。

1人目出産後、予定通り次の妊活がスタートできるとは限らない

もう一つ、気を付けたいのは1人目や2人目出産後、スムーズに2人目や3人目の妊活のスタートができるとは限らないという事です。

今の子育てに手がいっぱいで、2人目、3人目など次の子供の事は考える余裕がないという話はよく耳にする話です。
働いている女性であれば仕事との兼ね合いもあるかもしれませんし、待機児童の問題で別々の保育園に2人も預けて働くはちょっと…という場合もあるかもしれません。

自分たちが思い描くように必ずしも次の妊活がスタートできるとは限らないのです。
だからこそ、ライフプランを立てるときは少し余裕をもって立てることをお勧めします。

2人目、3人目不妊の通院のハードル

そしてもう一つ知っておいてほしいことは、2人目不妊や3人目不妊の通院のハードルの高さです。
1人目は自然に授かったとしても、2人目や3人目は不妊治療を選択するという場合もあるかもしれません。

しかし、子供を連れての通院は思っている以上にハードなものになります。
なかには子連れでの通院がNGなクリニックもありますし、子連れで通院がOKであっても、度重なる長時間の通院に子供の我慢が持たない場合もあります。

また、働きながらであればさらにそのハードルは上がることになります。
保育園のお迎えはどうするのか?
子供を連れて不妊クリニックを受診するにしても、夕方以降は子供も疲れや眠さなどで余計にぐずりやすくなってきます。

2人目、3人目を不妊治療で…と考えている場合は、通院できる環境も整えておくことが必要になってきます。

「何人子供を望むのか?」「自然妊娠にこだわるのか?不妊治療も視野にいれた妊活計画なのか?」をライフプランについて考える際に一緒に考えておくのは、忘れがちですが必要なことですね。

ただ、これらの年齢による妊娠の可能性はあくまでも確率の問題です。
例えば、38歳を過ぎて2人の子供を望んだ場合、確率的には確かに高くありませんが、とはいえ子供を授かる可能性がゼロなわけではありません。

だからこそ、お二人でしっかりと話し合って、「何人くらい子供が欲しいのか」、「どれぐらいの期間、妊活や不妊治療にチャレンジするのか?」を一緒に考える参考になればと思います。

 

この記事の監修医師
菊地 盤(きくち いわほ)
産婦人科専門医/生殖医学会生殖専門医
順天堂大学医学部卒業。順天堂大学産婦人科先任准教授(助教授)、順天堂大学医学部附属浦安病院リプロダクションセンター長を経て、2019年よりメディカルパーク横浜の院長を務める。順天堂大学浦安病院在籍時には、世界で初めて市(浦安市)と提携し「卵子凍結」プロジェクトの責任者として、女性の妊孕性温存に携わる。

 

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