基礎体温を使った排卵日の予測、排卵検査薬を用いた方法など排卵日を予測する方法にはいくつかありますが、その中でも一番確実なのがクリニックで排卵日を予測してもらう方法です。
クリニックでの排卵日予測となるとハードルが上がる人も少なくありませんが、生理周期が安定していない、排卵検査薬ではうまく排卵日が特定できないという場合は、医師に確認してもらうことをお勧めしています。
実際に自分達が予測していた日よりも排卵日がずれていて、クリニックを受診した周期に妊娠したというご夫婦もいらっしゃいます。
この記事の監修医師
産婦人科専門医 / 生殖医学会生殖専門医
順天堂大学医学部産婦人科客員准教授
順天堂大学医学部卒業。順天堂大学産婦人科先任准教授(助教授)、順天堂大学医学部附属浦安病院リプロダクションセンター長を歴任。世界初となる公費助成の「卵子凍結保存プロジェクト(千葉県浦安市)」の責任者。2019年メディカルパーク横浜を開院。
排卵検査をするには、どのような病院を受診すればいいの?
いざ、病院やクリニックを受診しようとした際に最初にぶつかる問題が、どのクリニックやどの病院を受診したらいいかという点です。
排卵日の予測であれば、不妊専門クリニックでなくとも、婦人科やレディースクリニックでも可能な場合があります。まずはHPなどの案内を確認してみてください。
20代であれば、まずは一般婦人科やレディースクリニックに行くのも一つの方法です。
ただし、この場合は、通院は半年から長くても1年を目途にしておきましょう。
婦人科やレディースクリニックの場合は、卵管造影検査や男性不妊検査など十分な検査が受けられない場合があります。
また、血液検査でも必要最小限の検査しか行われていないクリニックもありますので、通院期間を決めて、妊娠しなかった場合は不妊専門クリニックへいく必要があるということを頭の片隅に置いておきましょう。
30歳を過ぎている場合は、できる限り不妊専門クリニックの受診をお勧めします。
そしてできれば夫婦(カップルで)不妊検査も受けることをお勧めします。
不妊の原因は女性だけではありません。ここで一緒に男性の検査を行うことで、「時間を無駄にしてしまった・・・」「あの時に一緒に検査をしておけばよかった」と思わずに済みます。
もし、近くに不妊専門クリニックがない場合や、仕事との兼ね合いでどうしても近くの婦人科クリニックしか受診できない場合は、通院の目安は半年以内程度で考えておきましょう。
あくまでも排卵日を予測してもらうために通院していると考えてください。
専門のクリニックでない場合は、不妊治療においてできることが限られていることがほとんどです。
クリニックに通い始めたという安心感で、十分な検査を提示されずに通い続けて時間だけが過ぎてしまう人も少なくありませんので注意が必要です。
年齢が35歳以上の場合は注意が必要
35歳以上の場合は、少し通院が大変でも最初から専門のクリニックを受診したほうが、後々の後悔は少ないと思います。
排卵タイミングの確認で通院するのではなく、最初から不妊治療をスタートさせる心づもりも必要です。
多くの場合は、一般的な不妊検査(ホルモン値の測定 男性不妊検査 卵管造影検査 超音波検査等)を受けながらタイミング療法をスタートさせることになります。
40歳を過ぎている場合は、自己流のタイミングではなく1日も早く不妊専門のクリニックを受診して検査を受けましょう。
医師の判断にもよりますが、多くのクリニックではタイミング療法や人工授精を飛ばして、体外受精を勧められることがあります。
最初から体外受精を視野に入れて専門のクリニックを受診することをお勧めします。
クリニックではどのようにして排卵日を特定するの?
クリニックでは経腟超音波エコーを使って卵胞の成長具合を確認しながら、排卵日を予測します。
一般的に月経周期3日目の卵巣では直径2㎜~5㎜程度の卵胞が確認されます。月経初日から数えて8日目には卵胞の大きさは10㎜になります。
1日1.5〜2㎜ずつ卵胞のサイズが大きくなり、排卵日前日には卵胞の大きさは20㎜前後になると言われています。
これらの数値をもとに、いつ排卵するかを予測していきます。
人によって、卵胞の成長具合は変わりますので、ここは医師の経験や知識に依存することになります。
通院回数は増えますが、1日おきや2日おきに丁寧に成長具合を確認してくれるクリニックもあれば、ある程度までの成長を確認したら排卵日は〇日ぐらいかな?と言われて終わりのクリニックもあります。
ただ、卵胞の成長確認の保険適用に関しては、排卵誘発剤を使用した場合は3回まで、それ以上は実費となります。
また、排卵誘発剤を使用しなかった場合は、すべて自費診療となる為、卵胞の成長具合の確認回数が増えると費用がかかるというデメリットがあります。
回数をとるか、費用をとるかは難しいところですが、医師と相談しながら進めて行く必要があります。
クリニックによってはあわせて排卵検査薬を併用することもあります。
排卵したかどうかの確認に関してはクリニックによって違いますが、気になる場合は排卵したかどうかを確認してほしいと医師に相談してみると良いかと思います。
中には排卵していると思っていたのがうまく排卵せずにそのまま卵胞が縮んでしまっていることもありますので、気になる場合は医師に訪ねてみてください。
とはいえ、クリニックでの排卵予測もあくまでも予測です。
排卵予測に「絶対」はありませんので、排卵日をピンポイントで狙うのではなく生理終了後から排卵期間までの間は出来るだけこまめに性交渉をもっておくことも大切です。
クリニック受診前日に性交渉を持つのは抵抗がある・・・というお話も時折伺いますが、医師は特に気にしていませんので、妊娠の可能性を上げるためにも性交渉の回数は減らさないようにしましょう。
クリニックを受診するメリットは?
クリニックを受診するメリットはなんといっても卵胞の成長状態を、エコーを介してではありますが、直接確認できることです。
基礎体温や排卵検査薬、頸管粘液の変化はあくまでも指標やホルモン値の変化であり、卵胞の成長状態を確認することはできません。
卵胞の成長状態を直接確認することで、より精度の高い排卵予測が可能になります。
それ以外には、クリニックを受診し医師が卵胞の状態を確認することで不妊の原因が見つかるかもしれないということ、クリニックを受診することで不妊に関する検査をスタートすることができるという点です。
クリニックの受診は少しハードルが高く感じるかもしれません。
実際に私も初めてクリニックを受診するときは数か月悩みました。
もしかしたら今月妊娠できるかもしれない、来月は・・・とついつい先延ばしにしがちですが、一人で悩んでいるのであれば思い切って受診してみてください。
冒頭にも書きましたが、医師に排卵日を予測してもらうタイミング治療で妊娠に至った人はたくさんいます。
そして多くの人は、悩まずにもっと早く受診していればよかったと言われます。
基礎体温や排卵検査薬での排卵予測に手詰まりを感じたら、妊活スタートから1年たっていなくても受診を考えてみてください。
参考資料
日本産婦人科医学会 排卵の予測