胚移植後はどう過ごす?妊娠率を上げるためには

前回まで2記事にわけて、体外受精での刺激方法受精・培養・移植についてお伝えしてきました。この記事では、胚移植後の過ごし方や妊娠判定までの流れについて解説していきます。

この記事の監修医師

胚移植後の過ごし方、妊娠率をあげるためにできることはある?

胚移植をした後は妊娠判定日を待つだけになりますが、この判定日までの期間がとても長く、ストレスを感じられる方も少なくありません。

少しでも妊娠の確率をあげるために、何かしておいた方がいいのではないか?してはいけないことはないか?と様々な情報を探される方もいるのではないかと思います。

胚移植後にこれをやっておけば妊娠率があがるというものはありませんし、してはいけないという事もほとんどありません
とはいえ、判定日までどのように過ごせばいいのかはやはり気になる方も多いのではないでしょうか?

ここでは、これだけは押さえておきたい点についてお伝えしていきます。

胚移植後は安静にしておいた方が良い?

判定日までは安静にしておいた方がいいのでは?と思われる方もいますが、特に安静にして過ごす必要はありません。
医師の許可があれば、移植後に仕事に行くことも可能です。

もちろん、胚移植後は少しゆっくり過ごしたいという思いがあれば、判定日までゆっくりと過ごすことには問題はありませんが、仕事などを調整してまで無理に安静にしている必要はありません。
逆に普段通りに過ごす方が気も紛れて、ストレスを感じないという方もいます。

ただこの安静の考え方はクリニックによって様々です。特に医師から何も指示がなければいつも通り過ごせばいいかと思います。
ただし、新鮮胚移植でOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがある場合は、安静が必要な場合もあるので、その際は医師の指示に従うようにしましょう

胚移植後の飲酒とたばこは妊娠に影響する?

胚移植後のお酒やたばことの付き合い方が気になるという方もいらっしゃいます。
妊娠判定日までであれば、適量な飲酒であれば問題ありません。ただし、泥酔するまで飲むことや毎日休みなく飲酒することは、妊娠関係なく、身体の負担になるのであまりお勧めできません。

厚生労働省が出している“健康日本21”によると、女性の1日の飲酒の適量は純アルコール換算で1日20gまでと言われています。
これはビールであれば500mL(ロング缶1本)、日本酒であれば1合、ワインであればグラス2杯弱と言われています。

一般に女性は男性と比べてアルコールの代謝能力が低いと言われていますので、男性と同じように飲んでいると飲みすぎになってしまうので注意が必要です。

妊娠がわかった後は、飲酒は控えるようにしましょう。
妊娠中の飲酒は、摂取した量にもよりますが、胎児性アルコール症候群(アルコールの影響で胎児に脳の発達障害等がおこる疾患)や発育障害を引き起こすと言われています。

たばこに関しては、胚移植後関係なく、妊娠を希望されるのであれば男女ともに禁煙されることをまずはお勧めします。
たばこは男女ともに精子の質や卵子の質を低下させ、妊孕性に大きく関わってきます。

また、妊娠中の女性が喫煙を続けることで、早期破水・前置胎盤・胎盤異常・早産などのリスクがあがるとも言われています。
胎児にも影響がでるため、胎児が順調に成長しなかったり、低体重児の原因にもなります。

妊娠を望むカップルにとってたばこは百害あって一利なしです。
女性はもちろん、男性も一緒に禁煙しましょう。

胚移植後の温活は効果あるの?

胚移植後は基本的には普通の生活を送っても大丈夫ですが、感染症のリスクを考えると、温泉やよもぎ蒸しやハーブ蒸しのようなものは避けた方がいいという意見もあります。

そもそも子宮内の温度はそう簡単に上がったり下がったりしません。膣からわざわざ蒸気を送り込んだりして、無理に温める必要はありません。
また暑いのを我慢して、温活を続けていると脱水を起こしたり、熱中症のような症状を引き起こす可能性もあります。

もちろん、寒さを感じていれば、暖房やカイロや湯たんぽなどを使って暖めたり、洋服などで重ね着をして調整して快適に過ごすことは大切です。
でも、暑さを我慢してまで温活をする必要はありません。

胚移植後にしておきたい唯一のこととは?

基本的には、胚移植後は特に特別なことをする必要もなく、普段通りに過ごすのが一番です。
ただし、唯一これだけは摂取しておいてほしいものがあります。それが葉酸です。
葉酸は食品からも摂取できますが、サプリメントでの摂取の方が吸収率もよく、必要量が簡単に摂れるので、サプリメントでの摂取をお勧めしています。

妊娠前から葉酸を摂取することで産まれてくる子供の先天異常のリスクを減らすことが出来ると言われていますので、不妊治療をしているのであれば、葉酸はサプリメントで1日400μg摂っておくことをお勧めします。

移植後の過ごし方はとても気になるものです。
一人でモヤモヤするぐらいであれば、医師や看護師の方に質問してすっきりした状態で判定日まで過ごしましょう。

体外受精説明会等で先に質問しておくのも一つの方法です。

後々「こんなことやらなければよかったかも?」と不安になるようなことや、「今これやっても大丈夫かな?」と迷うのではあれば、“やらない”というのも一つの決め方です。

色々と気になる時期ではありますが、上述した注意点を参考に、今どうしてもやらなければならない事だけをやって、後は普段通りの生活を送られることをお勧めします。

妊娠判定日までに体調の変化や妊娠初期症状はある?

胚移植から判定日までの着床時期の期間は、とても長く感じると言われる方も少なくありませし、一つ一つの体調の変化が気になり、これはもしかして妊娠の症状?と一喜一憂してしまうこともあるでしょう。

確かに、人によっては眠気を感じたり、胸の張りを感じたり、だるさを感じる人もいますが、逆にまったく何も感じない人もいます。

これらの症状を感じるのは、妊娠判定後のもう少し妊娠期間が過ぎてからがほとんどであり、妊娠判定日までには何も感じないという人の方が多いと言われています。

着床時期に何か症状がないと不安を感じるかもしれませんが、この時期は症状がなくても不安になる必要はありません。
着床時期に何かしらの妊娠初期症状を感じないからといって、妊娠していないと自分で勝手に判断して必要な薬の服用をやめてしまわないように注意が必要です。

必ず妊娠の判定はクリニックで行ってもらい、医師の指示に従うようにしましょう。

妊娠判定日は移植後何日目?hCG濃度は?

妊娠判定日はクリニックによっても違いますが、早いクリニックであれば胚移植後7日目で妊娠判定を行うクリニックもあります。ただし、より確実な妊娠判定を行うため、胚移植後7日目で陽性と判断されても、胚移植後2週間前後でもう一度妊娠判定を行うクリニックがほとんどです。

また、胚移植後7日目の妊娠判定は希望者だけのクリニックもありますので、移植後の判定日までのスケジュールをあらかじめきちんと確認しておく必要があります。

7日目の判定が希望者だけの場合で検査を受けたい場合は、予約方法などを胚移植後にきちんと確認しておきましょう。

妊娠しているかどうかの着床の判定は、血中hCGが5mIU/mL以上で着床があったと判断することが可能です。そのため、かなり早い段階からクリニックではhCGの測定が可能になります。

しかし、一度着床してhCGが5mIU/mL以上になっても、残念ながら必ず妊娠が継続されるわけではありません
臨床的に妊娠と判断されるのは、子宮内に胎嚢が確認されたタイミングになります。

ただし、治療の過程でhCG注射を使用した場合は、一定期間は血液検査にそれらの影響が出るため、妊娠判定日は影響が出ない時期に行われることになります。

妊娠が順調に経過した場合、血中hCGの値は以下のように変化します。
妊娠3週 5~25mIU/mL
妊娠4週 50~1000mIU/mL
妊娠5週 1000~10000mIU/mL
妊娠9週から14週 4万~10万mIU/mL

妊娠14週までで血中hCGの値はピークに達し、15週以降は下降していきます。
妊娠5週と3日ごろに超音波エコーで胎嚢が確認できるようになります。

胚移植後の過ごし方から、妊娠判定までの流れ、いかかでしたでしょうか?
胚移植後は結果を待つしかありません。気にせずに過ごすというのは難しいかもしれませんが、出来るだけあまり気にせずにリラックスしながら過ごしてみてくださいね。

参考資料
厚生労働省 e-ヘルスネット
今すぐ知りたい 不妊治療Q&A 医学書院

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