アイジェノミクス・ジャパン本社 ラボ訪問レポート

先日、弊社代表の西とともに株式会社アイジェノミクス・ジャパン様の本社とラボを訪問してきました。

あまり普段見ることの出来ない検査風景も見学させていただきましたので、そんなラボツアーの情報も含めて、アイジェノミクスさんで行われている検査についてお伝えしていきたいと思います。

アイジェノミクス・ジャパンって何の検査をしている会社なの?

もしかしたら、”アイジェノミクス”と会社名だけ聞いてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんね。

ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)検査、もしくはTRIO検査と聞けば、ピンと来られる方も多いかと思います。
そう、着床の窓や、子宮内膜の細菌バランスなどの検査を行っている会社です。

アイジェノミクスはスペインに本社を置く遺伝子検査の会社です。

不妊治療から妊娠に関わる主な検査項目としては以下があります。
・CGT (特定の遺伝子変異の有無を検査)
・ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)
・PGT-A
・PGT-M(単一遺伝子疾患に対する着床前診断)
・NACE(非侵襲性新型出生前検査)
・POC(胎児組織の染色体検査)

この中で今回は、ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)
PGT-A
の4種類の検査についてのお話を伺いました、

ちなみに、東京ラボで検査が行われているのは、PGT-APOC(胎児組織の染色体検査)の2種類の検査項目。
それ以外の検査に関しては、スペインの本社に検体を送って検査が行われているそうです。

今回のラボツアーでは、
・アイジェノミクスさんの会社概要
・ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)検査、PGT-A検査の紹介
・検査室見学
・検査結果の見方

この流れでご紹介いただきました。

ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)検査、PGT-A検査とは?

ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)検査、名前は聞いたことはあるけれど、検査の内容は今一つよくわからないという人も多いのではないでしょうか?

ここでは、各検査の内容についてお伝えします。

《ERA(エラ)検査》

子宮内膜は毎月、ある特定の期間だけ、受精卵を受け入れる状態になると言われています。
この受精卵を受け入れることが出来る期間を“着床の窓”と言い、胚移植の時にこの時期がずれているとうまく着床できないと言われています。

この着床の窓は遺伝子検査で特定することが可能であり、ERA検査はこの着床の窓を調べる検査です。

《EMMA(エマ)/ALICE(アリス)検査》

EMMA(エマ)検査では、子宮内膜の細菌のバランスを確認します。子宮内においてラクトバチルス菌の占める割合を確認し、ラクトバチルス菌の割合が少ないとあまり子宮内の環境が良くないと判断することが出来ます。

ALICE(アリス)検査では、細菌の種類を更に詳しく調べます。慢性子宮内膜炎の原因菌となる病原菌がいるかいないかを確認する検査です。

菌の種類やバランスによって、抗生剤での治療や、ラクトバチルス菌の加療などが推奨され、子宮内環境を整えていきます。

《PGT-A検査》

PGT-A検査とは体外受精によって得られた胚(胚盤胞)から一部の細胞を採取し、染色体の数について過不足がないかを調べる検査です。

PGT-A検査のメリットとしては、流産予防や移植あたりの妊娠率を高めることが出来ます。

検査ってどんな場所で行われているの?

検査の概要と流れを説明いただいた後は、実際に検査を行っているラボを見学させていただきました。

最初に検査受付で、検査検体の確認を行い発送検体、東京ラボで行われる検査検体に分けられます。
スペインには週3回、必要な場合はさらに増やして検査検体の発送を行っているそうです。スペインには週1回ぐらいの発送かと思っていたので少し驚きでした。

こちらは、検体の前処理(遺伝子の増幅)を行う部屋です。
ちょうど作業が行われていなかったので中まで入って見学させてもらうことが出来ました。

一番奥にあるスペースが、クリーンベンチと呼ばれるもの。
名前の通り、きれいな環境を維持した作業スペースです。
このクリーンベンチ内で検査検体を分けていきます。

そしてこの赤い機械が遺伝子を増幅させるためのサーマルサイクラーと呼ばれる機械です。
この中で検体中の遺伝子を増幅させていきます。

機械の左上にある白いボックスを通して前処理が終わった検体を受け渡し、隣にある部屋の分析機器で遺伝子解析を行います。

正確な結果を出すためには、このように検査環境にも気を付ける必要があります。

こちらが実際に検査を行っている部屋です。

緑色に光っている機械が検体を分注するための装置です。
右側の白い機械が、実際に検査を行う分析装置になります。

このカードのようなものに検査検体が分注されて、最終的に遺伝子解析が行われます。
このチップをセットする時は振動を与えないように静かに作業を行う必要があるようです。

このように様々な作業を経て検査結果が出ています。

検査結果の見方〜検査は万能ではない〜

検査ラボの見学の後は、これらの検査結果がどのように出てくるのか、どのように見ればいいのかを見本を使って教えていただきました。

ERA(エラ)、EMMA(エマ)、ALICE(アリス)検査、とPGT-A検査、決して安い検査ではありません。
この検査結果がどのように妊娠率を上げるのに役立っているのか、納得して検査を受ける必要があるのではないかと思います。

検査は決して万能ではなく、特にPGT-A検査はサンプルの採取する場所や、異常な細胞がある場所によっても結果が変わってきます。
決して、PGT-A検査をやれば必ず妊娠にたどり着くわけではありません。

そんなことを踏まえながらも、わかりやすく検査結果の見方をご説明いただきました。

実際に検査を受けられている患者さんであれば、あれも聞きたい、これも聞きたいなんてこともたくさんあるのではないかなと感じながらお話を伺っていました。

検査は万能ではありませんし、検査ですべてが解決するわけではありません。
だからこそ、自分はこの検査を受けた方がいいのか?そうでないのか?判断して選んでいく必要があります。

これらの検査を受けることで、何がわかって何がわからないのか、それらを知ることで初めて、検査を受けるか受けないか正しく選べることが出来るのではないかとお話を聞きながら感じました。

いかがでしたでしょうか?
自分の検体がどのように検査が行われているのか、少しはイメージしていただけたかなと思います。

患者さんが理解して、納得して検査を受けるかどうか選択できるように、もっと多くの人に検査の事を正しく知ってもらいたいという思いを語ってくださったアイジェノミクスさん。

なかなかこのように検査会社さんからちょくせつ検査のお話を伺ったり、検査ラボを見学させていただけることはありませんので、貴重な機会をいただけたことに感謝しかありません。

患者さんにとって検査の世界は未知な世界だと思います。
今後もこのような、普段は知る事の出来ない部分も婦人科ラボでお伝えしていけたらと思います。

そして、6/25(金)には婦人科ラボ×アイジェノミクス・ジャパンのコラボで、妊活LABO番外編としてラボ見学オンラインツアーを行います。

ご興味のある方はぜひこちらからお申し込みください。

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