不妊治療の病院選びで失敗しない!口コミとの賢い付き合い方 

不妊治療で病院やクリニックを選ぶ際に多くの人が参考にするものの一つに“口コミ”があります。確かに口コミは貴重な情報源です。
しかし、口コミだけを頼りに病院やクリニックを選ぶのはちょっと危険です。

この記事では、クリニック選びの際に活用される口コミとの賢い付き合い方について解説していきます。

この記事の監修医師

口コミを活用する際の注意点

不妊治療でクリニック選びの時に参考にするのがHPです。しかしHPに全ての情報が網羅されているとは限りません。

中にはクリニックからの簡単なメッセージと診療時間、アクセスしか書かれていないものもあります。

そうなると、次に頼りになるのは実際に通っていた人の情報、いわゆる口コミになります。
口コミは実際に通院して治療をしていた人の情報を読んだり、聞いたりできるという点では、HPなどではわからないリアルな情報に触れることが出来ます。

そういう点でも、多くの人は病院やクリニックを選ぶ際に通院していた人からの情報や口コミを探します。
でもこの口コミを参考にする場合、気を付けてほしい点があります。

注意点①ネガティブな情報は口コミされにくい

よほどのことがない限り、ネガティブな情報は実際のクリニック名をあげてまで口コミされることはありません。
その為、どうしてもネットの口コミとなると妊娠と言う結果の出た情報ばかりが集まりやすくなります。

もちろんそれ自体がダメなわけではありません。
ただ、そのクリニックのやり方で結果が出た人がいる反面、そのクリニックのやり方では結果が出ずに他院に転院して、妊娠に至る人もいます。

しかし、そのような妊娠に至らなかった時の情報はあまり口コミされません。

以前その不妊クリニックに通っていた人から直接話を聞く場合は、いろんな意見が聞ける可能性もありますが、ネットでの口コミの場合はどうしても肯定的な情報ばかりが集まりやすい点には注意する必要があります。

注意点②口コミ数が多いほど優秀なクリニックとは限らない

患者数の多いクリニックは自然とネットの口コミも増えます。
それらの口コミを見ていると、どうしても“妊娠した口コミが多い=優秀なクリニック”となりがちです。

ですが、本当に“妊娠した口コミが多い=優秀なクリニック”になるのでしょうか?

確かに患者数の多いクリニックは、それだけ妊娠数も多くなります。
でも、妊娠できなかった患者もそれなりいるのですが、そちらに目を向ける人はあまりいません。

もう少し詳しく、数値を入れて説明してみます。

例えば、年間2000人の患者が通うAクリニックと年間500人の患者が通うBクリニックがあるとします。
2つのクリニックの年間の妊娠率は30%

となると
Aクリニックで妊娠した人は 600人
Bクリニックで妊娠した人は 150人

この数値だけを見るとAクリニックの方が優秀に見えます。
そしてネット上の口コミもやはりAクリニックの方が多いでしょう。

しかし、逆で見てみると
Aクリニックで妊娠出来なかった人は 1400人
Bクリニックで妊娠出来なかった人は 350人

妊娠に至らなかった人の人数も圧倒的にAクリニックの方が多いのですが、口コミの情報では残念ながらこの点はあまり見えてきません。

口コミを参考にする時は、口コミの数だけに振り回されないように注意が必要です。

注意点③他人の情報が自分に合うとは限らない

口コミと言うのはあくまでも他人の不妊治療情報です。
その為、年齢も違えば、女性側の不妊の原因も、男性側の不妊の原因も違ってきます。もちろん個々の健康状況も違ってきます。

ですから、他人の体験がそのまま自分に当てはまるとは必ずしも限らないのです。

口コミを参考にする場合は、必ずこの情報は他人の情報であり、自分に当てはまるとは限らないという視点で読んだり、聞いたりする必要があります。

特に直接、経験者から話を聞くときは注意が必要です。

「私はこのクリニックで妊娠できたけど…」と全体を俯瞰しながらアドバイスしてくれる人から話を聞くときはいいのですが、「私はこのクリニックで妊娠できたから、あなたも…」と言われたからと、その情報だけでクリニックを選んでしまう人もいます。

他人の経験談はあくまでも一つの参考情報としておきましょう。
他の人には合った不妊クリニックや病院の治療方針が、必ずしもあなたに合うとは限りません。

口コミを賢く活用するためのポイント

とはいえ、不妊治療の病院やクリニックを選ぶ際に、口コミは大切な情報源の一つです。
だからこそ、口コミは有効に活用したいもの。

ここでは口コミでの情報が参考になる点について説明していきます。

① 採卵時の排卵誘発方法について

クリニックや病院のHPに記載されている場合はよいのですが、記載されていない場合は、採卵時の誘発方法が自然周期採卵なのか、低刺激での排卵誘発なのか、高刺激での排卵誘発なのか、患者に合わせたオーダーメイドなのかを口コミでチェックすることが出来ます。

一言で高刺激での排卵誘発と言っても、いくつかの方法があるので、その点もチェックしておくといいかと思います。

また採卵時の麻酔の方法についても一緒に確認しておくといいでしょう。
採卵は一度で終わるとは限りません。
何度も繰り返して採卵を行う場合は、麻酔の方法は結構重要なポイントになってきます。

排卵誘発に関してはこちらの記事も参考にしてみてください

② 移植方法について

移植に関しても様々な選択肢があります。こちらもHPに記載していればいいのですが、そうでない場合は、口コミが参考になります。

自然周期での移植なのか、ホルモン補充周期での移植なのか、受精卵は胚盤胞まで育てるのか、初期胚での移植も可能なのか?
二段階移植やSEET法の選択は可能なのか?などチェックしてみてください。

移植に関してはこちらの記事も参考にしてみてください

③ 検査の種類について

不妊治療で行われる検査に関しても、不妊クリニックや病院によって方針は様々です。HPに細かく記載されていない場合、どのような検査が行われているか、口コミが参考になることがあります。

④ 医師の担当制の有無や待ち時間について

一人の医師に継続的に診察してもらいたい人もいれば、毎回の診察で医師が違っても気にしないという人もいます。

ただし、継続して同じ医師に診てもらう場合、待ち時間が長くなる場合も少なくありません。待ち時間を短くしたい場合は、担当制の医師にこだわらないのも一つの選択肢です。

これらの情報に関しては、HPなどではなかなかわからないため、口コミや通院していた人の話がかなり参考になります。

⑤ 治療にかかる費用について

費用に関しては、HPに記載されている金額はあくまでも一つの目安に過ぎず、HPに記載されている金額より費用がかかったなんて話もよく耳にします。

個々によって使用する薬や通院回数も違い、採卵できる卵子の数も違うため、そのまま口コミの情報が自分にあてはまるわけではありませんが、一つの目安にはなります。

ただし、治療にかかる費用は排卵誘発の方法や移植の方法で大きく変わってくるので、単純に他のクリニックと比較できないことは頭の片隅においておく必要があります。

いかがでしたでしょうか?
口コミでまず確認するのは、個人の治療結果ではなく、病院やクリニックそのものの治療方針です。

口コミを見る場合は、妊娠出来たかどうかだけを見るのではなく、どのような方針で治療を進め、どのような検査を行っているのか、HPだけではわかりにくい情報を得るために口コミを賢く活用してみてください。

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