不妊治療の費用を抑えるコツは?妊活専門FPが回答します!

不妊治療、中でも体外受精や顕微授精、顕微鏡下精巣内精子回収法(micro-TESE)といった特定不妊治療は、現状では保険の適用外でかなり高額です。

助成金が拡充されたことでかなり負担は減るものの、それも年齢や回数に制限があります。

また、不妊治療に公的医療保険が適用されることになっても、3割は自己負担することになります。
今回は、不妊治療の費用を抑える方法をまとめてお伝えします。

国の助成制度を活用!

2021年1月から、国が行う「不妊に悩む方への特定治療支援事業(旧特定不妊治療費助成事業)」が拡充されました

助成額が1回30万円に増額されたことに加えて所得制限がなくなったことで、これまで助成金を受け取れなかった人も、年齢の要件を満たせば助成金を受け取れます。

体外受精の費用は30〜60万円程度かかりますが、助成金を30万円受け取れるとかなり負担が減ります。治療費がネックになって体外受精を見合わせていた人にとっては、チャンスと言えるでしょう。

ただし気を付けておきたいのは、助成金を受け取れるのは治療後だという点。初回の治療費はまず全額自分で用意する必要があります。貯蓄額が少ない人は、治療のタイミングをボーナス時期に合わせるなどして資金を準備するといいでしょう。

国の助成制度の拡充について詳しくは「2021(令和3)年1月1日から適用!不妊治療の助成拡充、何がどう変わったの?」をご確認ください。

自治体の助成制度も併用しよう!

国の助成制度と並んで頼りになるのが自治体独自の助成制度です。

自治体の助成制度は、国の助成制度の金額を上乗せしたり、年齢制限や回数制限を緩和したりするものと、不妊検査や、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療、不育症治療などの国の助成の対象外になっている治療に対して助成するものの2タイプがあります。

国の助成制度に上乗せ・緩和タイプのものは、国の助成制度が拡充されたことにより廃止・縮小されることも考えられます。ホームページの情報が更新されていない自治体もあるようですので、電話などで直接確認することをおすすめします。

一方、国の助成の対象外になっている治療への助成は継続される自治体が多いようです。特に不妊検査費用の助成は、不妊治療のはじめの一歩を踏み出すのにいいきっかけになるので、要件を確認してぜひ活用しましょう。

勤務先の健康保険組合・福利厚生制度を確認してみよう

従業員の不妊退職を防ぐことを目的として、治療費の補助や休暇制度、カウンセリング制度などを整える企業が増えつつあります。

企業により制度の内容や要件が異なりますので、夫婦それぞれの勤務先について支援制度がないかを確認してみましょう。

自己加入の医療保険の確認も忘れずに

最近では不妊治療に対して給付金が出る医療保険が販売されています。また、子宮筋腫の摘出手術などは通常の医療保険でも手術給付金の支払い対象となる場合があります。

まずはお手元の保険証券を確認してみましょう。それでもわからない場合には保険会社の担当者に確認し、請求漏れのないようにしましょう。

医療費控除はしっかりと確認・利用しよう

1年間の医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合には、確定申告で医療費控除を受けることによって税金を減らすことができます。

体外受精や顕微授精など自由診療の不妊治療も対象になりますし、夫婦の医療費を合算することができます。また、市販薬の購入費や病院までの交通費(公共交通機関のみ)なども対象になります。

医療費控除は5年以内であれば受けられるので、申告し忘れている年があればさかのぼって申告することができます。

医療費控除について詳しくは「不妊治療も対象!医療費控除で治療費の負担を減らすには?やり方や注意点をご紹介をご確認ください。

夫婦そろって検査を受けることが治療費削減のポイント

不妊治療の費用を抑えるために一番重要なのは、早く治療を始めることです。

治療を始めていても、検査を受けたのは女性だけというケースをよく見受けますが、不妊症の原因の約半数は男性側にもあります。

数年間治療を続けてきたけれど妊娠せず、やっと夫が検査を受けたところ男性側に原因があり、体外受精でなければ妊娠の可能性は低いことが判明したというケースもあります。こうなってしまうと、それまで治療にかけた時間もお金も無駄になってしまいます。

また、「卵子の老化」という言葉を聞くようになって久しいですが、年齢とともに妊娠率は下がっていきます。夫が検査を受けるのを待つ間にも妊娠率は下がってしまいます。
費用を抑えるためだけでなく、1日でも早く最適な治療を受けるためにも、夫婦同時期に検査を受けることを強くおすすめします。

男性がどうしても検査を受けることに抵抗がある場合は、自宅でできる精子セルフチェックキットを活用してみるのもひとつです。スマホアプリと連動して、採取した精子の状態をチェックできるキットも販売されていますので、検討してみてください。

仕事と治療を両立しやすい病院を探す

治療費そのものを抑えられるわけではありませんが、仕事と治療を両立しやすい病院を選ぶことで退職による収入の減少やキャリアの中断を防ぐことができます。

休日診療や早朝・夜間診療を行っている病院なら、仕事の前後に通院することも可能です。自己注射を取り入れている病院であれば、通院回数を減らすこともできます。

婦人科ラボのクリニック検索ではこだわり条件検索なども可能ですので、ライフスタイルに合う病院を探してみてください。

どこまでお金をかけるか決めておくことも大切

不妊治療が長引くと、藁にもすがる思いであれこれと試してみたくなります。私自身も妊活にいいと聞いた神社や温泉に行ったりしました。

ですが、不妊治療のメインは病院での治療です。妊活グッズにお金をかけすぎて治療費がなくなることがないように、お金のかけどころを間違えないようにしましょう。

また、不妊治療により妊娠、出産した後には、当然ながら教育費や養育費がかかります。他にも住宅購入資金や老後資金など、妊娠するしないにかかわらず必要になる資金があります。それらも考慮した上で、治療にどこまでお金をかけるのか予算を決めましょう。

金額だけでなく、「体外受精を3回」「43歳になるまで」というように治療を終える目安を考えておくことも大切です。

ここまで紹介した制度は、自分で調べて申請などをしないと受けられないものばかりです。まずは自分たちに使える制度がないかを確認し、治療費の負担を減らしましょう。

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