体外受精って何をするの?体外受精の基本的な流れについて

“体外受精”という言葉は、不妊治療を考えたことのある人であれば一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか?
しかし、実際に何をするのか?今ひとつよくわからない…という人も少なくないかと思います。

体外受精と言われると、お金がかかる、痛い、すごく特別な治療…というイメージをなんとなく持っている人も少なくありません。
よくわからないから、体外受精へのステップアップに戸惑いがある…なんてこともあるのではないでしょうか。

またどのように治療をすすめていくのか、クリニックにはどれぐらい通院しなければならないのか等、治療スケジュールが見えずに不安という話を伺うこともあります。

この記事の監修医師

体外受精ってどんなことをするの?

そもそも体外受精とはどのような技術なのでしょうか?

体外受精は生殖補助医療と言い、簡単に言うと卵子と精子を体外(身体の外)で受精させて、その受精卵を子宮に戻す技術」です。

英語の頭文字をとってIVF(In Vitro Fertilization)と言われることも多いです。

体外で受精した卵は、その後は子宮の中に戻して自然妊娠と同じように子宮の中で赤ちゃんは育っていくことになります。

精子と卵子が体内で上手く出会えない時などに、医療の技術を使って受精などを助けてあげる技術になります。

卵子と精子が自然に受精できないのはなぜ?

妊娠の最初のステップは、卵子と精子が卵管膨大部と呼ばれる場所で出会い受精するところからスタートします。
しかし、様々な要因でこの卵子と精子が出会えなかったり、うまく受精できない場合があります。

考えられる原因はいくつかあります。

① 卵管が詰まっている場合

卵管は精子や受精卵の通り道になります。
この卵管が、クラミジア感染や子宮内膜症などが原因で閉塞したり、狭窄していることがあります


このような場合、精子は卵管内を通過することができないため、いくら性交渉を行っても卵子に出会い受精することができません。

② 精子に問題がある場合(男性因子)

男性の精子になんらかの問題がある場合、精子が卵子の待っている卵管膨大部までたどり着けない場合があります。

精子の運動率が悪い場合や、精子の数が少ない、もしくはほとんどいない場合などが当てはまります。

また正常形態の精子が少ないと卵管膨大部にたどり着いても、精子と卵子が上手く受精できないこともあります。

③ 排卵がうまく行われていない場合

排卵障害には、卵巣内で卵胞が上手く発育しない場合や多嚢胞性卵巣症候群(OHSS)のように、卵胞は育つものの、うまく排卵されない場合があります。

排卵障害の場合は必ずしも最初から体外受精が選択肢になるわけではありません。まずは、排卵誘発剤を用いたタイミング治療が行われます。

ただタイミング治療の場合は排卵誘発剤によって複数の卵胞が育ってしまうこともあります。

複数の卵子が育ってしまった場合は、三つ子や四つ子になってしまった時のリスクも考えて、その周期に性交渉を取ることを中断させられる場合もあります。

また、複数の卵胞を成長させないように排卵誘発剤の量を調整することで、逆に卵胞が上手く育たないこともあります。
このような場合は体外受精にステップアップし排卵誘発剤を用いて採卵を行います。

体外受精の場合は子宮に戻す卵子の数をこちらで決められるので(原則1個)たくさんの卵胞が育ってしまっても、一卵性の場合を除いて双子や三つ子になるリスクはかなり低くなります。

④ 受精障害

精子の数や運動率や正常形態率に問題はないのに、精子と卵子が上手く受精しない場合があります。これらは、タイミング療法や人工授精では気づくことが出来なく、体外受精を行ってみてはじめてわかります。

このような場合は、顕微授精を行うことで精子と卵子の受精が可能になります。

卵管が詰まっているかどうか、精子の数や運動率、正常形態率に関しては、不妊クリニックを受診した最初の検査でわかるため、この2点になんらかの問題がみつかれば、タイミング治療や人工授精などの一般不妊治療を行わずに体外受精へいきなりステップアップすることになります。

自己流の妊活を続けていても半年から1年妊娠しない場合は、できるだけ早めに排卵状態の確認や卵管造影検査や男性不妊の検査を含めたスクリーニング検査を受けることをお勧めするのはこのような理由があるからです。

卵管に詰まりがあったり、精子になんらかの問題がある場合は、タイミング治療や人工授精での妊娠は難しく、体外受精が必要になることがほとんどです。

体外受精はどれくらい通院が必要になる?

体外受精にステップアップしようと考えて気になることの一つが、スケジュールとどれぐらい通院が必要かということです。

週末の通院だけでも可能なのか、通院は週1回程度で済むのか、仕事終わりの通院でなんとかなるのかどうか等、特に仕事をしながら通院を考えている場合は、このスケジュールはかなり気になるのではないでしょうか。

排卵誘発剤などは自己注射という選択肢もあるため、通院の回数を減らすことが可能です。

とはいえ、全く通院しなくてもいいわけではありません。
月経開始時期から、採卵までの間は卵胞の確認などで少なくとも3回から4回ほどの通院が必要になってきますし、思ったように卵胞が成長しなければ通院回数は増えることになります。

通院は生理周期と卵胞の成長具合にあわせて必要になるため、土曜日の午前中や水曜日の夕方などの指定をすることはできません。

仕事終わりの通院に関しては、どのクリニックでも19時や20時まで診療しているわけではありませんので、ご自身のライフスタイルにあわせてクリニックを選ぶ必要があります

ただし採卵や移植などは時間指定されているクリニックもありますので、その点も確認しておく必要があるかと思います。

体外受精の流れとスケジュール

では実際に体外受精はどのような流れで行われるのでしょか?

体外受精は大きくわけると採卵と移植の2つの流れにわけることが出来ます。

ここでは簡単に採卵のスケジュールと移植のスケジュールを紹介していきたいと思います。
ただし、クリニックによって方法は様々ですので、あくまでも一つの参考として読んでいただければと思います。

採卵スケジュール

採卵のための排卵誘発方法はいくつかの方法がありますので一般的な流れで説明していきたいと思います。
使用する誘発剤の種類によって薬の量や通院回数は変わってきます。

  1. 前周期若しくは生理開始後から点鼻薬や内服薬の使用をスタート。
  2. 排卵誘発剤の自己注射、もしくは薬の服用がスタート(採卵直前まで)。
  3. 採卵までの間に、3~4回クリニックで血液検査や卵胞の状態を確認。
    卵胞が思うように発育しない場合などは、確認のために通院回数が増えることがあります。
    またこれらの通院日に関しては、おおよその目安はあるもののその時、その時に次の通院がきまります。
  4. 超音波検査と血液検査で採卵日を確定。
  5. 採卵を行う36時間前(夜間になることが多いです)にLHサージを誘発する注射を行う。
    こちらは自己注射でも可能なため必ずしも通院が必要になるわけではありません。
  6. 注射の翌々日に採卵。
    無麻酔で行った場合は、お昼から仕事に行くことも可能ですが、麻酔を使用しての採卵の場合は、その日は1日もしくは半日仕事を休む必要があります。
    精子に関しては持ち込みが可能なクリニックもありますが、その場での採精を勧められる場合は、パートナーの男性も採卵日は一緒にクリニックに行く必要があります。
  7. 採卵後は卵子と精子の受精を行う。
  8. 受精後は培養器の中で受精卵を成長させる(=体外培養)
  9. 成長した胚をそのまま移植(新鮮胚移植)する場合は採卵から2日~5日後に移植へと移る。それ以外は凍結保存する。

移植スケジュール

最近は採卵と同じ周期で胚を移植する新鮮胚移植ではなく、受精卵をいったん凍結して別の周期で子宮に戻す、凍結胚移植が主流になりつつあります。

そのため、タイミング治療や人工授精のように一つの生理周期内に治療が完結しません。
凍結胚移植の場合は、卵巣の状態やホルモンの値が落ち着いてからの移植になります。

≪新鮮胚移植の場合のスケジュール≫
  1. 採卵後から着床を助ける薬(黄体ホルモン薬)を服用。
  2. 採卵後3日~5日の間に受精卵を移植。
  3. 妊娠判定。
    判定日はクリニックによって違いがあり、移植から7日~14日後に血液検査で判定を行います。
    ただ、7日目の判定はあくまでも着床の確認レベルであり、より確実な妊娠判定は12日~14日の検査になります。
  4. 妊娠の経過観察(血液検査でホルモン値の確認等)
  5. クリニック卒業もしくは産科へ移動(時期はクリニックによって違う)
≪凍結胚移植のスケジュール≫

凍結胚移植の場合は、卵巣やホルモンの値が落ち着いたのを確認してから移植を行います。
凍結胚移植はホルモン補充で行う方法と、通常の月経周期にあわせて行う方法(自然周期法)の2種類の方法があります。

・ホルモン補充周期での移植の流れ
  1. 移植開始の前周期に卵巣の状態を確認。
  2. 生理開始のタイミングから薬の服用(種類や期間、回数は人やクリニックによって異なる)
  3. 生理10日目から14目の間で内膜とホルモンの状態を確認。
  4. 移植日決定 黄体ホルモンの補充開始。
  5. 胚移植。
  6. 妊娠判定。
    判定日はクリニックによって違いがあり、移植から7日~14日後に血液検査で判定を行います。
    ただ、7日目の判定はあくまでも着床の確認レベルであり、より確実な妊娠判定は12日~14日の検査になります。
  7. 薬の服用は継続(妊娠9週末頃まで)
  8. 妊娠の経過観察(血液検査でホルモン値の確認等)
  9. クリニック卒業もしくは産科へ移動(時期はクリニックによって違う)
・自然周期での移植の流れ
  1. 移植開始の前周期に卵巣の状態を確認。
  2. 生理開始後に排卵誘発を行う場合あり(クリニックや個々によって違う)
  3. 排卵の確認(排卵確認のために通院回数が増えることあり)
  4. 排卵後ホルモン補充(クリニックによる)
  5. 胚移植。
  6. 妊娠判定。
    判定日はクリニックによって違いがあり、移植から7日~14日後に血液検査で判定を行います。
    ただ、7日目の判定はあくまでも着床の確認レベルであり、より確実な妊娠判定は12日~14日の検査になります。
  7. 妊娠の経過観察(血液検査でホルモン値の確認等)
  8. クリニック卒業もしくは産科へ移動(時期はクリニックによって違う)

クリニックの方針や個々の状態によって細かな流れ(薬の使用頻度や通院回数)は変わってきますが、体外受精の全体的な流れは上のような流れになります。

自己注射など、自宅で可能なものも増えましたがそれでも採卵時も移植時も頻繁にクリニックへの通院が必要になってきます。

これから体外受精へのステップアップを考えている人は、全体のイメージをつかんでおくことで通院のための様々な調整もしやすくなってくるのではないかと思います。

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