顕微鏡で胚を確認する培養室のスタッフ

検査と治療・体外受精・顕微授精

凍結胚移植とは:胚移植の流れと保険の扱い

最終確認日 2026-10-17(制度は変わることがあります。出典で最新の情報をご確認ください)

出典の一覧(5件)

胚移植は、体外で受精させた胚を子宮に戻す段階です。こども家庭庁によると、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は保険の対象です。保険で受けるには、女性の年齢が43歳未満であることと、回数の上限という条件があります。

なお、この記事で確かめた公的な資料には「凍結胚移植」という言葉そのものは出てきません。資料はまとめて「胚移植」と書いています。凍結した胚を移植する場合の扱いは、通う医療機関で確かめてください。

この記事は、体外受精・顕微授精(生殖補助医療)を考えている人に向けたものです。

胚移植は治療のどこにあたる?

こども家庭庁の資料では、体外受精を次のように説明しています。卵子と精子を採取し、体外で受精させ、子宮に戻して妊娠を図る技術です。顕微授精は、体外受精のうち、卵子に注射針などで精子を注入して受精させる技術です。

生殖補助医療では、「採卵・採精」から「胚移植」に至るまでの基本的な治療が保険の対象になりました(こども家庭庁)。胚移植は、この保険の範囲に含まれる段階です。

前の段階については、次の記事で説明しています。

治療の流れ

公的な資料から読み取れる流れを、順番に並べます。

順番段階内容
1治療計画の説明と同意医師から治療計画(治療内容や流れなど)の説明を受け、本人とパートナーがともに同意書などを出します(こども家庭庁)
2採卵・採精卵子と精子を採取します
3受精体外受精、または顕微授精で受精させます
4胚移植胚を子宮に戻します
5妊娠の確認東京都の助成の資料では、胚移植をして妊娠の確認をした日を「1回の治療」の終わりとしています

薬の使い方や通院の日程は、人によって違います。くわしい流れは、医師に確認してください。

保険で受けるための条件

年齢

治療を受ける人、またはパートナーのうち女性の年齢が、その生殖補助医療の開始日に43歳未満であることが条件です(こども家庭庁)。

こども家庭庁の資料は、43歳未満とした理由も示しています。年齢が高くなるほど、体外受精で出産に至る確率は低下し、流産率は上昇します。産科合併症などのリスクも上昇します。こうした医学的な理由によるものです。

回数

回数の上限は、初めての胚移植のための治療計画を作った日の年齢で決まります(こども家庭庁)。

初めての胚移植の治療計画を作った日の年齢回数の上限
40歳未満1子ごとに通算6回
40歳以上43歳未満1子ごとに通算3回

出産した場合や、妊娠12週以降に死産となった場合は、回数が数え直されます。次の子のための治療開始日の年齢が40歳未満ならさらに6回、40歳以上43歳未満ならさらに3回まで受けられます(こども家庭庁)。

回数の数え方の細かい点は、不妊治療の保険適用:対象になる治療・年齢・回数のルールと医療機関で確かめてください。二人目のときの考え方は二人目不妊でまとめています。

事実婚の場合

法律上の夫婦だけでなく、事実婚のカップルも保険の対象です(こども家庭庁)。

費用の考え方

2022年3月以前は、不妊治療の保険適用は原因となる病気がある場合に限られていました(こども家庭庁)。2022年4月からは、保険で受ける不妊治療の窓口負担は原則3割です。

ひと月に窓口で払った医療費が上限額を超えた場合は、高額療養費制度で超えた分が支給されます。支給を受けるには、加入している医療保険者への申請が必要です。社会保険の人は勤務先か加入している医療保険者へ、国民健康保険の人は住んでいる自治体へ問い合わせます(こども家庭庁)。

実際の金額は、治療の内容や医療機関によって変わります。費用の目安は不妊治療の費用の目安を参考にし、くわしくは受診する医療機関で確認してください。

胚移植に関わる先進医療

先進医療は、保険外の先進的な医療技術として認められたものです。保険診療と組み合わせて受けられます(こども家庭庁)。

こども家庭庁の資料(令和8年4月1日時点)にある先進医療のうち、胚移植や着床に関わる名前のものは次のとおりです。

技術の名前資料での説明
子宮内膜刺激術胚を培養した液を胚移植の数日前に子宮に注入する技術
子宮内膜受容能検査1又は2子宮内膜が着床に適した状態かを評価する検査
子宮内膜擦過術胚移植の予定の前の周期に子宮内膜をスクラッチし、次の周期に胚移植を行う技術
二段階胚移植術先に初期の胚を移植し、後日、培養を続けた別の胚(胚盤胞)を移植する技術
子宮内細菌叢検査1又は2子宮内の細菌叢の状態や菌の組成を調べる検査
着床前胚異数性検査(PGT-A)胚の染色体の数を調べ、正常な胚を選ぶ技術

ほかに、タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養などもあります。先進医療として扱われるのは、厚生労働省から実施医療機関として指定を受けた医療機関で行った場合だけです(東京都)。受けるかどうかは、医師とよく話し合ってください。くわしくは先進医療と不妊治療と着床前診断(PGT-A)とはをご覧ください。

東京都の助成と医療費控除

東京都は、令和8年4月1日以降に開始した治療から助成の対象を広げました。保険診療の生殖補助医療と、あわせて受けた先進医療の費用を、1回の治療につき15万円を上限に助成します。申請の受付開始は令和8年10月1日です(東京都)。

  • 「1回の治療」は、治療計画などから移植後の妊娠判定などまでの一連の治療です。採卵周期・移植周期で区切るものではありません
  • 「1回の治療」の開始日に妻の年齢が43歳未満であることなどが要件です
  • 高額療養費や付加給付が支給された場合は、その分を引いて助成されます
  • 全額自己負担で受けた体外受精・顕微授精は対象外です

区市町村の助成は、東京都とは別の事業です。くわしくは不妊治療の助成(東京都)をご覧ください。

また国税庁は、医師による診療などの対価として払う不妊症の治療費は医療費控除の対象になると示しています。くわしくは不妊治療の医療費控除をご覧ください。

受ける前に確かめたいこと

  • 通う医療機関が、保険診療で生殖補助医療をしているか(保険診療をしていない施設もあります)
  • 自分たちの年齢と、残っている回数
  • 凍結した胚を移植する場合の扱いと、費用の見込み
  • 先進医療を組み合わせるかどうか

胚移植をいつ、どのように受けるかは、体の状態によって変わります。判断は医師に相談してください。

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よくある質問

凍結胚移植は保険で受けられますか?

こども家庭庁の資料では、生殖補助医療の「採卵・採精」から「胚移植」に至るまでの基本的な治療が保険の対象と書かれています。ただし、この記事で確かめた資料には「凍結胚移植」という言葉そのものは出てきません。ご自身の治療が保険で受けられるかは、通う医療機関で確かめ、医師に相談してください。

保険で受けられる回数の上限は何回ですか?

初めての胚移植のための治療計画を作った日の年齢で決まります。40歳未満は1子ごとに通算6回、40歳以上43歳未満は1子ごとに通算3回です(こども家庭庁)。また、女性の年齢が治療の開始日に43歳未満であることが条件です。

出産した後、二人目の治療では回数はどうなりますか?

出産した場合や、妊娠12週以降に死産となった場合は、次の子のための治療開始日の年齢が40歳未満ならさらに6回、40歳以上43歳未満ならさらに3回まで受けられます(こども家庭庁)。くわしくは医療機関で確かめてください。

事実婚でも保険の対象になりますか?

はい。こども家庭庁の資料では、法律上の夫婦だけでなく事実婚のカップルも保険の対象と示されています。治療を始めるときは、医師から治療計画の説明を受け、本人とパートナーがともに同意書などを出します。

胚移植に先進医療を組み合わせられますか?

先進医療は保険診療と組み合わせて受けられます(こども家庭庁)。子宮内膜刺激術や二段階胚移植術など、胚移植に関わる名前の技術もあります。厚生労働省から指定を受けた医療機関で行う場合に限られます。受けるかどうかは医師に相談してください。

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