
検査と治療・体外受精・顕微授精
顕微授精とは:体外受精との違い・保険の扱い
最終確認日 2026-10-17(制度は変わることがあります。出典で最新の情報をご確認ください)
顕微授精(けんびじゅせい)は、体外受精のなかの一つの方法です。卵子に注射針などで精子を入れて、人工的に受精させます。体外受精と顕微授精は、どちらも「生殖補助医療」にふくまれます。2022年4月からは、採卵・採精から胚移植までの基本的な治療が保険の対象になりました。窓口での負担は原則3割です。ただし、保険で受けるには年齢と回数の条件があります。どの方法で治療を進めるかは、医師に相談して決めてください。
顕微授精とは
こども家庭庁の情報では、顕微授精は次のように説明されています。
- 体外受精のうちの一つの方法
- 卵子に注射針などで精子を注入するなど、人工的な方法で受精させる技術
もととなる体外受精は、卵子と精子を取り出して、体の外で受精させる技術です。シャーレの上で受精を促すなどの方法があります。受精した卵を子宮に戻して、妊娠をめざします。
つまり、卵子と精子を体の外で受精させる点は同じです。ちがうのは「受精のさせ方」です。体外受精の流れ全体は、体外受精とはで詳しく紹介しています。
体外受精との違い
体外受精と顕微授精のちがいを、表にまとめます。
| 体外受精 | 顕微授精 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 生殖補助医療 | 生殖補助医療(体外受精のうちの一つの方法) |
| 受精のさせ方 | 体の外で受精させる(シャーレの上で受精を促すなど) | 卵子に注射針などで精子を注入するなど、人工的な方法で受精させる |
| 保険 | 2022年4月から対象 | 2022年4月から対象 |
| 年齢・回数の条件 | あり | あり(体外受精と同じ条件) |
この表は、どちらが優れているかを比べるものではありません。どちらの方法になるかは、検査の結果などをふまえて医師が説明します。気になることは、医師に相談してください。
保険の扱い
2022年3月以前は、不妊治療に保険が使えるのは、原因となる病気がある場合に限られていました。体外受精や顕微授精などは、医療機関が自由に内容や金額を決める「自由診療」で行われていました。
2022年4月(令和4年4月)から、生殖補助医療が広く保険の対象になりました。日本生殖医学会のガイドラインなどをふまえ、有効性や安全性を確認できた基本的な治療が対象です。
保険の対象になったのは、「採卵・採精」から「胚移植」に至るまでの基本的な治療です。窓口での負担は原則3割です。
保険で治療を受けるときに知っておきたいことは、次のとおりです。
- 法律上の夫婦だけでなく、事実婚のカップルも対象です
- 治療を始めるとき、医師から治療計画(治療の内容や流れなど)の説明を受けます
- 本人とパートナーがいっしょに同意書などを出します
- 保険診療をしていない医療機関もあります。受診する前に、医療機関に確認しましょう
- 保険診療の届け出をしている医療機関の一覧は、厚生労働省のホームページに載っています
保険のルール全体は、不妊治療の保険適用にまとめています。
年齢と回数の条件
体外受精と顕微授精を保険で受けるには、年齢と回数の条件があります。
まず年齢です。治療を受ける人またはパートナーのうち、女性の年齢が、生殖補助医療の開始日に43歳未満であることが条件です。
次に回数です。初めての胚移植のための治療計画を作った日の年齢で、上限が決まります。
| 初めての胚移植の治療計画を作った日の年齢 | 回数の上限(1子ごと) |
|---|---|
| 40歳未満 | 通算6回まで |
| 40歳以上43歳未満 | 通算3回まで |
出産した場合や、妊娠12週以降に死産となった場合は、回数を数え直せます。次の子のための治療を始める日の年齢が40歳未満なら、さらに6回まで受けられます。40歳以上43歳未満なら、さらに3回までです。
43歳未満という条件には、医学的な理由があります。年齢が高くなるほど、体外受精で出産に至る確率は下がります。流産率や、産科合併症などのリスクは上がります。年齢と妊娠の関係なら不妊治療は何歳まで?、回数の数え直しなら二人目不妊もあわせてご覧ください。
オプション治療と先進医療
基本の治療に加えて行われることがある治療を「オプション治療」といいます。オプション治療には、卵子活性化のように保険の対象になったものがあります。また、「先進医療」として保険診療と組み合わせられるものもあります。
先進医療とは、保険外の先進的な医療技術として認められたものです。保険診療と組み合わせて受けられます。令和8年4月1日時点で、生殖補助医療に関する先進医療には次のものがあります。
- ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術
- タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
- 子宮内細菌叢検査1又は2
- 子宮内膜刺激術
- 子宮内膜受容能検査1又は2
- 子宮内膜擦過術
- 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術
- 二段階胚移植術
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術
- 着床前胚異数性検査(PGT-A)
先進医療は、追加されることもあります。くわしくは、受診する医療機関に確認してください。一覧と内容は先進医療と不妊治療、PGT-Aは着床前診断(PGT-A)とはで紹介しています。
費用の負担を軽くする制度
保険の3割負担に加えて、使える制度があります。具体的な金額は、受診する医療機関に確認してください。
高額療養費制度
保険診療で、窓口で払った医療費がひと月の上限額を超えたとき、超えた分が支給される制度です。不妊治療が保険の対象になったので、この制度も使えます。
支給を受けるには、加入している医療保険者への申請が必要です。社会保険の人は、勤務先または医療保険者に問い合わせます。国民健康保険の人は、住んでいる自治体に問い合わせます。
東京都の助成
東京都では、令和8年4月1日以降に始めた治療について、助成の対象が広がりました。
- 保険診療の生殖補助医療と、いっしょに受けた先進医療の費用が対象です
- 1回の治療につき15万円が上限です
- 高額療養費や付加給付が支給された場合は、その金額を差し引いて助成されます
- 全額自己負担で受けた体外受精・顕微授精は対象外です
- 「1回の治療」の開始日に、妻の年齢が43歳未満であることなどの条件があります
- 申請の受付開始は令和8年10月1日です
くわしい条件は不妊治療の助成(東京都)をご覧ください。住んでいる区市町村が独自に助成していることもあります。
医療費控除
医師の診療などとして払った不妊症の治療費は、医療費控除の対象になります。くわしくは不妊治療の医療費控除をご覧ください。わからないことは、税務署に問い合わせましょう。
費用の全体像は不妊治療の費用の目安にまとめています。
男性側の治療も保険の対象
射精が難しい場合などに、手術用顕微鏡などを使って精巣内から精子を取り出す手術があります。精巣内精子採取術(TESE)といいます。この手術なども保険の対象です。くわしくは男性不妊とはをご覧ください。
まとめ
- 顕微授精は、体外受精のうち、卵子に注射針などで精子を入れて受精させる方法です
- 体外受精と顕微授精は、どちらも2022年4月から保険の対象です
- 保険で受けるには、43歳未満という年齢の条件と、回数の上限があります
- 先進医療は、保険診療と組み合わせて受けられます
- 高額療養費制度や自治体の助成など、負担を軽くする制度があります
自分にどの治療が合うかは、検査の結果などによって変わります。治療の方法や進め方は、医師に相談してください。
あわせて読みたい
- 体外受精とは:治療の流れ・年齢別の妊娠率・費用と保険
- 不妊治療の保険適用:対象になる治療・年齢・回数のルール
- 不妊治療の費用の目安:保険の自己負担と高額療養費
- 先進医療と不妊治療:保険診療と組み合わせられる技術の一覧
よくある質問
顕微授精と体外受精は何が違うのですか?
どちらも卵子と精子を体の外で受精させる「生殖補助医療」です。ちがうのは受精のさせ方です。体外受精はシャーレの上で受精を促すなどの方法です。顕微授精は、体外受精のうち、卵子に注射針などで精子を注入するなど人工的な方法で受精させる技術です。どちらの方法になるかは、医師に相談してください。
顕微授精は保険で受けられますか?
2022年4月から、体外受精と顕微授精は保険の対象になりました。採卵・採精から胚移植までの基本的な治療が対象で、窓口での負担は原則3割です。ただし年齢と回数の条件があります。また、保険診療をしていない医療機関もあるので、受診先に確認してください。
顕微授精を保険で受けられるのは何歳まで、何回までですか?
女性の年齢が、生殖補助医療の開始日に43歳未満であることが条件です。回数は、初めての胚移植の治療計画を作った日の年齢が40歳未満なら1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満なら通算3回までです。出産した場合などは、回数を数え直せます。
顕微授精の費用の負担を軽くする制度はありますか?
保険の3割負担に加えて、ひと月の上限額を超えた分を払い戻す高額療養費制度があります。東京都では、令和8年4月1日以降に始めた治療について、保険診療の生殖補助医療と先進医療の費用を、1回15万円を上限に助成しています。不妊症の治療費は医療費控除の対象にもなります。具体的な金額は医療機関に確認してください。
顕微授精といっしょに先進医療を受けられますか?
先進医療は、保険診療と組み合わせて受けられます。令和8年4月1日時点で、タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養や着床前胚異数性検査(PGT-A)などが認められています。受けるかどうかは、医師に相談してください。くわしくは受診する医療機関に確認しましょう。